松島屋ないまぜ帖
2021.02.03
雪池忌
今日は雪池忌。
福沢諭吉の命日。
歌舞伎にそのままズバリ
「福沢諭吉」
という外題=タイトルの芝居がある。
慶應義塾創立百二十五年記念として
1983年11月歌舞伎座で上演されたのは、
真山青果先生作
真山美保先生の演出。
福沢諭吉は三代目市川猿之助、
学僕朝吹鉄之助は初代尾上辰之助。
芝居の中に文明開化の象徴として
「牛鍋」を実際に食べるシーンがあり、
辰之助サンの弟子だった僕は
それを作るのが仕事だった。
牛鍋の材料を小道具さんから預かり、
舞台の裏に持ち込んだ
カセットコンロに鍋をかけ
グツグツ、グツグツ。
いい塩梅に仕上げて
舞台の七輪の上にセッティング。
初日から千穐楽まで
毎日、牛鍋を作り続けた。
辰之助サンはグルメだったから
味付けに苦心したのが
今となってはいい思い出。