松島屋ないまぜ帖
2023.06.26
プラハの思い出
NHKの『駅ピアノ』をときどき拝見。
いろんな人がいろんな思いで
ピアノを弾く番組。
ピアノの音色も素敵だけど
行き交う人の服装や
駅の雰囲気など
画面からの情報が沢山で
楽しい。
この間はプラハだった。
プラハ・・・・・
今、思い出しても
冷や汗が。。。
今から10年以上前のこと。
道路を渡ったらすぐに駅
という場所で
出発時間まで
家族写真を撮ったりして
のんびりしていた。
仮に東京駅だとしたら
丸ビルだと思っていただきたい。
さて、と
駅へ向かおうとしたところ・・・
ん?
渡るべき横断歩道が無い。
え?
歩道橋も無いよ。
車は絶え間なく
走っている。
ここを渡ると
列車ではなく
救急車に乗るはめに。
だったら地下?
入り口を探す。
あった!
壊れてぐにゃり曲がった
エスカレーターが。。。
もちろん動いてない。
遠くへ探しに行く
時間はない。
発車時刻が近づいている。
乗り遅れたら
数時間待つことになる。
ままよ、
恐る恐る地下へ
足を踏み入れてみた。
正解っ!
地下道があった。
駅に着いた。
だが、表示が
ほとんどない。
あっても読めない。
駅員さんに切符を見せ
必死の形相で
「ホーム、どこですかっ?!」
指差しで教えてもらった方へ
走る、走る、走る。
荷物は嫁に持ってもらい
子どもを脇に抱えてダッシュ。
発車時刻ギリギリに
なんとか列車に滑り込む。
間に合った!
あとは指定席を目指して
車両を移動するだけ。
満席だとは聞いてたけど
通路も人、人、人。
大きな荷物を持って
座り込んだり立ったりして
ぎっしり。
その間を縫うように
「すみません、すみません」
と言いながら通してもらう。
ようやく座席に到着!
かと思いきや
先客がいた。
「席、間違ってないですか?」
と切符を指差しながら
恐る恐る聞いたが
「何、言ってるのかわかりません」
的な返事。
タイミングよく現れた
車掌さんに切符を見せたら
やれやれというような顔で
先客に
「君たちの席はココじゃない」
と言ってくれた。
「はあ?」と言う先客に
「切符を拝見」と畳みかける。
ポケットや荷物の中の
切符を探している様子。
見つからないのか
あえて出さないのか。
常に堂々としていて
決して立ち上がらない。
不思議なのは
何語かもわからない言葉なのに
何故か理解できること。
表情とか語気とか間とか
役者として参考になる。
・・・で結局
切符は
出ないままだった。
車掌さんが強めに
「ほら、どいて」
と言ってくれて
先客、渋々移動。
ようやく座席に
腰を下ろすことができた。
この一連のやり取りを
近くに座っていた老夫婦が見ていて
「たいへんだったねぇ」
と苦笑。
板チョコを割って
「食べる?」と
半分くれた。
人の情けが沁みる。
これがプラハ駅の思い出。
プラハと聞くと
胃がキュッ。
まるでパブロフの犬である。