松島屋ないまぜ帖

2023年06月

2023.06.30

篠笛弁護士

国立劇場小劇場で

昨日、開催されたのが

『百笛会』。

    

  

自称「篠笛弁護士」こと

大澤孝征先生の

『勧進帳』を拝聴。

  

歌舞伎好きな大澤先生は

篠笛を長年稽古なさっていて

いわば発表会である。

  

TVで事件や法律について

解説をなさる時とは違った

凛々しい袴姿。

  

『勧進帳』の中でも

笛が目立つ場を

およそ20分。

観客の前で堂々と演奏。

天晴れ!

  

「海外で弁護士の集いがある時

こっそり笛を持参して披露すると

途端に尊敬されるんだよ」と

お茶目に笑っておられた。

  

篠笛弁護士

実は

『アメイジング・グレイス』が

十八番♫

2023.06.29

矢立

六本木の泉屋博古館東京で開催中の

『木島櫻谷ー山水夢中』展。

  

木島櫻谷(このしまおうこく)は

近代京都画壇の

日本画家である。

  

何よりも写生を重んじたらしく

師匠の教えもあって

写生帖と矢立を

肌身離さず持っていたとか。

  

矢立とは墨壺と筆の入る筒が

一体化した筆記用具の事↓

 

この画像で

「コレ、忠臣蔵の!」

と思われた方は

相当な歌舞伎通。

  

『仮名手本忠臣蔵』

五段目の小道具の一つが

この“矢立”。

  

千崎弥五郎が

勘平の住所を

書き留める時に使う。

  

勘平「手前住所は

この山崎の渡し場を左に取り

百姓与市兵衛方と

お尋ね下され」

  

弥五郎「百姓与市兵衛方でござるな」

  

実際の使い方は

墨壺に綿を入れ

墨と水を含ませる。

筆先にその墨をつけて

帳面に書きつける。

  

客席からは見えにくいから

こういう時にしっかりと

ご覧いただきたい。

  

木島櫻谷展は

7月23日まで。

2023.06.28

壇ノ浦

平成中村座小倉城公演の発表直後から

弊社事務局宛にさまざまな

お問合せを頂いています。

  

ありがたいことにあまりに多く

個別対応できかねますので

この場を借りて

少々お答え致します。

  

Q;観光地、おすすめはどこですか?

A;小倉城の極近でしたら

昨日のブログでチラリご紹介

『小倉城庭園』と

『松本清張記念館』です。

  

天気が良い日に

ウォーキングも兼ねての

3時間コースでしたら

昼の部の演目に因んだ

『壇ノ浦』は如何でしょうか?

  

小倉駅から1時間ほどで

到着します。

  

例えば・・・

14:27JR小倉発           

14:41JR下関着           

15:00下関駅前発

(国民宿舎前行きバス)  

15:11御裳川着→徒歩          

15:15みもすそ川公園着

  

ここが壇ノ浦。

源氏と平家が戦った場所で

こんな景色が見られます↓

(下関観光ガイドブックHPより)

  

お帰りは

関門海峡を歩いて

  

みもすそ川公園の近くに

山口県側の

関門トンネル人道口があって

地下へもぐります。

海底トンネルは

下関から門司まで

780m。

  

途中で県境があり

福岡県へ。

  

門司側の関門トンネル人道口から

関門海峡めかり駅までは

徒歩10分なので

土)(日)は是非トロッコ列車に♪

16:20関門海峡めかり発

16:30九州鉄道記念館駅着

出光美術館で途中下車して

門司港レトロ地区散策もありです♪

  

*平日でしたらバスでサクッと

16:58門司側関門トンネル人道口

(西鉄バス74)

17:11門司港駅前着

  

17:27JR門司港発

17:40JR小倉着

ちょうど日暮れどきです。

  

以上『JTB大きな時刻表』を元にした

妄想モデルコースでした。

  

バスの時刻には要注意。

1時間に1本程度なので

事前リサーチ

なさってくださいね。

  

では中村座プラスα

良い旅を〜♫

2023.06.27

平成中村座小倉城

小倉城に平成中村座、再び!

11月1日から26日まで。

    

演目は

昼の部『渡海屋・大物浦』と

『風流小倉俄廓彩』

壇ノ浦は小倉のすぐ近く。

   

夜の部『小笠原騒動』

ご当地ゆかりのお家騒動で

再上演のリクエストに

お応えします。

  

小倉城一帯は

勝山公園と呼ばれ

小倉城庭園や

松本清張記念館などがあって

のんびり過ごせる場所です。

  

2019年11月以来

4年ぶりとなる小倉城は

姫路城と同じくらいの

アクセスの良さ。

JR小倉駅からタクシーに乗れば

通常10分かかりません。

  

“歌舞伎デビューは中村座”

どうぞまわりにいらっしゃる

歌舞伎未体験の方にも

お声がけください。

 

 

  

2023.06.26

プラハの思い出

NHKの『駅ピアノ』をときどき拝見。

いろんな人がいろんな思いで

ピアノを弾く番組。

  

ピアノの音色も素敵だけど

行き交う人の服装や

駅の雰囲気など

画面からの情報が沢山で

楽しい。

  

  

この間はプラハだった。

プラハ・・・・・

今、思い出しても

冷や汗が。。。

  

今から10年以上前のこと。

道路を渡ったらすぐに駅

という場所で

出発時間まで

家族写真を撮ったりして

のんびりしていた。

  

仮に東京駅だとしたら

丸ビルだと思っていただきたい。

  

さて、と

駅へ向かおうとしたところ・・・

ん?

渡るべき横断歩道が無い。

  

え?

歩道橋も無いよ。

  

車は絶え間なく

走っている。

ここを渡ると

列車ではなく

救急車に乗るはめに。

  

だったら地下?

入り口を探す。

  

あった!

壊れてぐにゃり曲がった

エスカレーターが。。。

もちろん動いてない。

  

遠くへ探しに行く

時間はない。

発車時刻が近づいている。

乗り遅れたら

数時間待つことになる。

ままよ、

恐る恐る地下へ

足を踏み入れてみた。

  

正解っ!

地下道があった。

駅に着いた。

  

だが、表示が

ほとんどない。

あっても読めない。

  

駅員さんに切符を見せ

必死の形相で

「ホーム、どこですかっ?!」

  

指差しで教えてもらった方へ

走る、走る、走る。

荷物は嫁に持ってもらい

子どもを脇に抱えてダッシュ。

  

発車時刻ギリギリに

なんとか列車に滑り込む。

間に合った!

  

あとは指定席を目指して

車両を移動するだけ。

満席だとは聞いてたけど

通路も人、人、人。

大きな荷物を持って

座り込んだり立ったりして

ぎっしり。

その間を縫うように

「すみません、すみません」

と言いながら通してもらう。

  

ようやく座席に到着!

かと思いきや

先客がいた。

  

「席、間違ってないですか?」

と切符を指差しながら

恐る恐る聞いたが

「何、言ってるのかわかりません」

的な返事。

  

タイミングよく現れた

車掌さんに切符を見せたら

やれやれというような顔で

先客に

「君たちの席はココじゃない」

と言ってくれた。

  

「はあ?」と言う先客に

「切符を拝見」と畳みかける。

  

ポケットや荷物の中の

切符を探している様子。

見つからないのか

あえて出さないのか。

常に堂々としていて

決して立ち上がらない。

 

不思議なのは

何語かもわからない言葉なのに

何故か理解できること。

表情とか語気とか間とか

役者として参考になる。

 

・・・で結局

切符は

出ないままだった。

  

車掌さんが強めに

「ほら、どいて」

と言ってくれて

先客、渋々移動。

  

ようやく座席に

腰を下ろすことができた。

  

この一連のやり取りを

近くに座っていた老夫婦が見ていて

「たいへんだったねぇ」

と苦笑。

板チョコを割って

「食べる?」と

半分くれた。

人の情けが沁みる。

  

これがプラハ駅の思い出。

  

プラハと聞くと

胃がキュッ。

まるでパブロフの犬である。

2023.06.25

全ては血となり肉となる

タイトルから

「亀蔵得意のゾンビの話か?」と

お思いになった方

スミマセン。

  

  

  

『マティス展』


会場の東京都美術館には

フランスの画家・マティスが

“20世紀を代表する巨匠”

と呼ばれるまでの

努力や工夫

葛藤があった。

  

マティスの作品と聞かなければ

パッと見

コローや

セザンヌ

シニャック

デュフィと

間違える自信がある。

  

  

それくらいさまざまな作風を

アグレッシヴに

自分の中に取り込んだ人。

それがマティスだと

初めて知った。

  

全てが血となり肉となる。

  

歌舞伎の世界も同じで

学ぶ事は真似る事。

そこをすっ飛ばしては

どうやったって

先は知れてる。

  

自分らしさを表現できるのは

ずっと後。

  

マティス晩年の切り絵や

教会のステンドグラスには

遊び心が溢れている。

  

巨匠が辿った回り道。

人間味があって共感。

      

追伸、本日午後9時から

Eテレ『古典芸能への招待』にて

平成中村座姫路城公演

『天守物語』ノーカット版オンエア。

中村座の“あの幻想的な雰囲気”を

思い出しながら

ご覧ください。

2023.06.24

サグラダ・ファミリア

福岡滞在中から

ずっと気になっていた展覧会。

東京国立近代美術館で開催中の

『ガウディとサグラダ・ファミリア展』へ

昨日、やっと行けた。

 

 

バルセロナのサグラダ・ファミリアには

5年前

平成中村座スペイン公演の後

個人的に訪れた。

  

だから建物の

圧倒的な佇まいを思い出しながら

展示物を眺めた。

  

聖堂の荘厳さ!

  

単なる街のアイコンとは違う

祈りの空間にある

独特な空気感!

  

あ〜やっぱり

無理しても

現地で見といて良かったと

改めて思う。

  

展覧会にあるのも無いのも

実際に撮影した

ガウディの建築物を

ちょこっとご覧ください♪

  

  

『カサ・バトリョ』↓

 

  

『グエル公園』↓

 

  

『サグラダ・ファミリア』↓  


サグラダ・ファミリアは

2026年に完成するとの事。


人生の目標の一つ。

絶対行きたい。

2023.06.23

八月納涼歌舞伎

舞台のお知らせです。

  

8月は歌舞伎座

納涼歌舞伎第二部

真山青果先生の作品

『新門辰五郎』に出演します。

  

真山先生といえば

『元禄忠臣蔵』

『将軍江戸を去る』など

今でもたびたび上演される作品を

手がけられましたが

『新門辰五郎』は

歌舞伎座では

およそ半世紀ぶり!

  

4歳から芝居に出ている亀蔵も

見た記憶が

無いそうです。

    

主役の辰五郎は今回

高麗屋サン。

  

因みに前回は

萬屋錦之助サンだったとか。

   

亀蔵は

目明しの弥太吉。

もちろん初役です。

  

夏の暑い時期は

涼しい劇場で

ゆったり芝居見物

楽しんでください。  

2023.06.22

ゲストスピーチ

最近

嬉しいご縁をいただきまして

ゲストスピーチやトークが多い

亀蔵です。

  

先週は福岡市の保育園。

昨日は横浜市立大学にお邪魔しました。

  

隅田保育園では

保育士さんや職員の皆さまなどを前に

『純子の部屋』という設定で

園長先生との対談。

園長先生のお名前が

純子サンなのです♪

  

博多座をご覧になられたご感想や

疑問質問に

亀蔵がお答えするという形式でした。

  

そして横浜市立大学では

新入生の皆さまへ

スピーチさせて頂き

質疑応答や

歌舞伎所作の実演。

  

タイトルは『第三言語としての文化』。

ニューヨーク

ボストン

ワシントン

ベルリン

ルーマニアなど

海外公演では

ご当地の方が

歌舞伎をご覧になって

泣いたり笑ったり。

  

その経験則から

大学生活で

国際社会へ出る準備をする

学生サンに

「何でも良いので

日本文化を一つでも語れたら

強みになる」

その為には

「タイパにとらわれず

何でも体感してください」と

メッセージを届けた

亀蔵です。

  

因みにトークの内容は

映画、アート

ときどき歌舞伎。

  

出番前に控室で目を閉じて

学生サンの声に

耳を傾けていた亀蔵ですが

全員での

「松島屋!」の大向こうに

嬉しく登壇したことも

追記いたします。

  

 

お支えくださった

全ての皆さま

細やかなご準備

ありがとうございました。

  

拙い話を聞いてくださった

皆さま

心より御礼申し上げます。

  

「文化は

人を

世界を繋ぐ」

  

横浜市立大学公式Twitterより↓

2023.06.21

梅雨の晴れ間にひと仕事

今日は夏至。

昼の長さを実感する。

  

しかも昨日の東京は

梅雨の晴れ間。

  

着物仕事に勤しんだ。

  

夏ものの黒紋付を

箪笥から出して

いつでも着られるよう

準備しておく。

  

お若い方は

ご存知ないかもしれないが

着物にはいくつかのルールがある。

  

夏の暑い時期は

通気性が良いよう

生地の織り方に工夫が。

  

これは

『絽』という反物で仕立てた

絹100%の夏ものの羽織。

向こうが透けて見えるのが

おわかりかと↓

 

映画『ふしぎな岬の物語』

出演を記念して

あつらえたもの。

  

主演の吉永さゆりサンから

「泥棒さん」と

優しく語りかけられたのを

思い出す。

  

因みに

昨年10月29日のブログで

羽二重の黒紋付の画像を出している。

生地がどれくらい違うのか

見比べてみるのも

面白いかも。

        

  


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