松島屋ないまぜ帖

2021.09.11

エリーゼのために

1985年の9月11日

女優・夏目雅子サンが

27歳で旅立った。

  

ドラマ『西遊記』の三蔵法師が

いまだに忘れられない。

鬼龍院花子も美しかったなぁ。

  

24歳の夏目雅子サンと

新橋演舞場で

共演させてもらった。

  

1982年、新装開場記念六月

尾上松緑・杉村春子顔合せ特別公演。

大佛次郎先生作『築山殿始末』。

夏目雅子サンは築山殿の侍女小笹の役。

 

築山殿侍女・小笹↑

衣裳図、守屋多々志筆 

「これぞ!大佛歌舞伎」展チラシより

    

築山殿は杉村春子サンで

徳川家康は二代目松緑のおじさん。

辰之助サンが主役で岡崎三郎信康。

で、僕は二役、武将と踊りの男。

  

夜の部は『露地に咲く花』。

夏目雅子サンは軽業師娘お俊。

按摩道玄を二代目松緑のおじさん。

女按摩を杉村春子サン。

僕は加賀鳶の若者ともう一役。

   

紀尾井町に入ったばっかりで

辰之助サンに付いて学んでいた。 

朝9時半に楽屋入りし

楽屋を出るのは夜9時、

それから何やかんやで

帰宅は真夜中。

毎日ガムシャラだった頃。

  

僕の楽屋へも毎日

挨拶に来てくださった

夏目雅子サン。

スッピンでも

おそろしいくらい綺麗だった。

  

そうそう、頂戴物!

黒電話で保留する時

オルゴールみたいな音が出る機械。

受話器を乗せると

「エリーゼのために」が流れてた。

引っ越しの時に失くしてしまったのが

本当に悔やまれる。

  

夏目雅子サンを偲んで

エリーゼのために」のCDを聴きながら

今夜は献杯。

  

        

  


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