松島屋ないまぜ帖
2023.06.29
矢立
六本木の泉屋博古館東京で開催中の
『木島櫻谷ー山水夢中』展。
木島櫻谷(このしまおうこく)は
近代京都画壇の
日本画家である。
何よりも写生を重んじたらしく
師匠の教えもあって
写生帖と矢立を
肌身離さず持っていたとか。
矢立とは墨壺と筆の入る筒が
一体化した筆記用具の事↓
この画像で
「コレ、忠臣蔵の!」
と思われた方は
相当な歌舞伎通。
『仮名手本忠臣蔵』
五段目の小道具の一つが
この“矢立”。
千崎弥五郎が
勘平の住所を
書き留める時に使う。
勘平「手前住所は
この山崎の渡し場を左に取り
百姓与市兵衛方と
お尋ね下され」
弥五郎「百姓与市兵衛方でござるな」
実際の使い方は
墨壺に綿を入れ
墨と水を含ませる。
筆先にその墨をつけて
帳面に書きつける。
客席からは見えにくいから
こういう時にしっかりと
ご覧いただきたい。
木島櫻谷展は
7月23日まで。