松島屋ないまぜ帖
2024.01.12
剣菱呑助
初台の新国立劇場で上演中の
初春歌舞伎。
『石切梶原』では
刀の試し切りに使われる
罪人のお役で
役名が“剣菱呑助”。
冷静に考えたら
有り得ない名前なのだが
役名から想像される通り
ボクは
日本酒に因んだ台詞を
涙ながらに滔々と述べる。
アレンジを加えるパターンもあるが
今回は台本を
一言一句変えない事に決まった。
『こもかぶり』
=菰で包まれた酒樽
『こなから酒』
=小半酒
=2合半
『こぼれ梅』
=みりんの搾り粕
『菊酒』
=重用の節句の時に飲む
菊の花びらを浮かべた縁起物
『ふじみ酒』
=不老不死の薬を
富士山頂で燃やしたという伝説があり
富士山を見ながら酒を飲んで
長寿にあやかる
などなど
日本酒にまつわる言葉が
台詞の中に
巧みに織り込まれている。
「もっとおもしろおかしくして欲しい」
と思われる方が
いらっしゃるかもしれないが
そこはボクの“力”が
足りず申し訳ない。
画像提供:国立劇場
因みに剣菱呑助の風貌が特徴的で
眉毛は熊の毛でできている。
希少価値があり
かなり高価。
あまり気づかれないが
胴切りにされる人形も
お揃いの眉毛。
小道具サンが
頑張ってくれた。
歌舞伎は細部に至るまで
見所満載。
今月27日まで。