松島屋ないまぜ帖
2025.08.10
矢野誠一先生
寄席へ行くと初めての落語に遭遇することが
しばしある。
そんな時の必携書がこちら
新版『落語手帖』
1ネタが1ページに
面白く簡潔にまとめられているので
重宝している↓
その著者でいらっしゃる
矢野誠一先生が
先月逝去された。
歌舞伎や演劇、演芸の評論家として
永きにわたって活躍された矢野先生は
今から14年前
読売新聞で
『落語のはなし』という
連載をなさっていた。
その第一席『らくだ』の中で
落語にしても芝居にしても
「らくだ」の脈所は
シテ役が死人で
口をきかないところにある。
死人がカンカンノウを踊るという
破天荒を演じさせて
片岡亀蔵のものが逸品だ
と名指しで書いてくださった。
飛び上がらんばかりに嬉しく
心強く
励みになった。
面識の無い役者でも
そうやって育ててくださる方だった。
まだまだ先生には
叱咤激励して欲しかった。
今は心から
ご冥福をお祈りするばかり。
いつかあの世で
芝居談義をお聞かせ願いたい。
合掌。