松島屋ないまぜ帖

2022.03.19

写真の中の鷗外

来月、歌舞伎座で

『ぢいさんばあさん』に出演する。

  

作者は、森鷗外。

ご存じの方も多いと思うが

実家がお医者さんで

本人は東京大学医学部卒業後

陸軍軍医となる。

  

その傍ら西欧文学の翻訳や

小説を発表し、

慶応義塾大学で美学講師を務めたり

今の国立博物館のトップを務めたり

明治・大正の知識人だった。

  

その鷗外が晩年に書いたのが

歌舞伎『ぢいさんばあさん』。

  

今、文京区の森鷗外記念館で

鷗外の没後100年を記念した

特別展が開かれている。

『ぢいさんばあさん』の

背景やヒントなど

何か掴めるかも、

と行ってみた。

  

『写真の中の鷗外』展。

本人は写真があまり好きでは

なかったらしく

普段の暮らしのスナップ写真が

ほとんど無い。

記念写真や集合写真など

畏まった表情の鷗外がほとんど。

  

『ぢいさんばあさん』は

大正4年の作品。

この横顔の写真は

『ぢいさんばあさん』を書いた

2年後↓

  

「おれなんぞの顔は閲歴が

段々に痕を刻み附けた顔で、

親に生み附けて貰った顔とは違ふ」

鷗外は『半日』という作品に

記している。

  

生まれたままの顔ではなく

経験が作り上げた横顔。

その深い眼差しが

妙に心に刺さった。

 

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